耕三寺は、広島県尾道市の瀬戸田町(生口島)にある仏教寺院です。
設立は、昭和11年、古くから伝わる寺院ではなく、鉄鋼業の実業家だった金本耕三氏が母の没後、出家して僧侶となり、何の文化財もない瀬戸田の地を残念に思い、耕三寺を建立したということです。
境内に著名な歴史的建造物を模した建物を建設するという構想のもと、約30年かけて、日光東照宮を模した「孝養門」や、平等院鳳凰堂を模した「本堂」などを建設していきました。
多くの建物は文化財に指定され、その内部には仏像や美術品などの展示がされており、単なる仏教寺院に収まりきらない、いわば、美術館的な見学もできるようになっています。
さらに、境内の北側の丘は、雰囲気は一変し、イタリア産の大理石を用いた環境芸術「未来心の丘」という彫刻家の作品があり、眼下には瀬戸田の町と瀬戸内海を美しく望むことができます。
耕三寺に立っている建造物はどれも重厚かつ絢爛華麗なもので、門の前から一見して大変目立つほどです。
各地の歴史的な建造物を模して造られているいわゆる「イミテーション」なのですが、決して安普請というわけではなく、装飾の細部まで作り込まれている本格的なものです。さすが、文化財に指定されるだけはあります。
こちらは数ある伽藍の中の展示物のひとつです。屏風、軸、花瓶、茶入れなど、いずれも素晴らしいものばかりです。
詳しいところまで見れませんでしたが、年代はそれなりに古いものです。おそらく、金本耕三氏のコレクションの一部でしょうか。
こちらは、千仏洞地獄峡という、地下霊場で、仏教でいうところの「地獄観・極楽感」をパネル絵で表現された洞窟です。
「地獄に落ちるとこうなるよ」という、ちょっと「子供だ〇し」な感じもしたのですが、実際に小3のわが子にはインパクトがあったようで、パネルの絵がやたらとリアリティがあり、良くも悪くも地獄のイメージをわかりやすく伝えている上、暗い洞窟を進むあたりが冒険心をそそったらしく、一番楽しんでいた場所でした。
こちらは、イタリア産大理石を用いた「未来心の丘」という彫刻作品です。丘一帯が白い美しい大理石で埋め尽くされ、これまでの仏教寺院とは雰囲気ががらりと変わります。
カフェも併設されていますが、ここで飲むドリンクは特にオススメです。テーブルから穏やかに広がる瀬戸内の島々、行きかう船を見ることができ「来てよかったな」という気持ちにさえしてくれます。
そんな見どころたくさんの耕三寺ですが、仏教建築や美術品、美しい景色も含めた観光をと思われる方には、きっと楽しめるのではないかと思います。